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『春琴抄』

春琴抄 (新潮文庫)春琴抄 (新潮文庫)
(1951/02/02)
谷崎 潤一郎

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それにしても佐助の献身は、どこから生まれてくるのか?
佐助の春琴に対する愛情の源泉がどこにあるのかを理解したくなる。
そうしなければ、彼の自虐的ともいえる行為とその一生が分からない。

こういう疑問が、当然湧く話ですが、この物語はそれを説明するのではなく、
ひたすら献身的に春琴に尽くす佐助の行為の美しさが描いています。
尽くすこと、献身的に生きること、その深さが佐助にとっての愛情なのだと言っている。
自ら盲目の世界に入ったことで、盲目の春琴との一体感に酔いしれてしまうほどに。
究極的な愛情の示し方として描かれている。

昨今の若者からすると、SM趣味的な本としか映らないのかもしれない。
私も読み始めてからずっとそう感じていました。
でも佐助が自ら盲目となった時の心情が、この話の核心かと思う。

相手を愛するということは、彼の場合相手と同じ境遇になることだった。
相手が、病気なら自分も病気になる。
相手が、悲しいなら自分も悲しくなる。

相手との一体感をどうやって得るかだと思う。
相手のことを思いやるという気持ちは、時として途轍もないことを成し遂げるが、
現代に生きる我々のその気持ちの表現は、数多の使い古されたものを繰り返しているだけなのかもしれない。

この時代の彼らの境遇下で、何が愛情の証として差し出せたというのだろうか?

おわり

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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