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海鳴り〈上〉 (文春文庫)

海鳴り〈上〉 (文春文庫)海鳴り〈上〉 (文春文庫)
(1987/10)
藤沢 周平

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2014年の42冊目&43冊目です。
老いを感じ始めた主人公 新兵衛が、ちょっとしたことから薄幸の人妻おこうに想いを寄せていく。主人公の日常は、ままならぬことに満たされている。それの一つ一つに向き合って生きていく。仕事を覚えようとしない放蕩息子、冷え切った夫婦関係、隙を見せず侮られないように振る舞う”商”。主人公は47歳だが、人生の老いに向かって進む入口が大きく開いていることを感じつつ日々を、現実を”諦観”の何も感じながら生きていた。そこに巡り合った人妻”おこう”と想いを通わせる仲になっていく。人生において、初めて出会い手にした”安息を与え”と”理解をしてくれる”同伴者だと確信するようになる。その二人の”愛”を物語の軸にして、様々な人間の心模様が、精緻な描写でありながら、現代人である我々の心にそっと寄り添うような言葉で描かれています。

この本は、会社のセミナーでよく一緒になる顔見知りの参加者の方から「読んでみて」とお借りしたもので、その時、もっと早く読んでおけばよかったと言われていました。
その言葉の意味を今読了後に考えているところです。
主人公のように、老いの入り口にさしかかるところで、何とか踏みとどまり、自分にとっての”宝”と巡り合い、新しい人生を歩むには、遅すぎたということだろうか?そうであれば私も同様だろう。では、”老いも捨てたもんじゃない”ともっと早く気付けば、生きてきた意味がもっと深まったのにということか?主人公の新兵衛は、仕事人として親として父としての役割を思慮深く、あるいは功利主義的にこなしていきます。そういった日常を失う瞬前に、実はその問題のたくさんある日常が、それなりに価値があり愛おしいものだと気がつきます。それは、老いることでしか気付け得ないことなのかもしれません。

海鳴り〈下〉 (文春文庫)海鳴り〈下〉 (文春文庫)
(1987/10)
藤沢 周平

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テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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