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『ツナグ』


2015年の50冊目です。
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。
その”ツナグ”により、死者との再会を果たしていく人達の物語です。
5つの連作から成る長編小説です。
1作目から4作目までは、一人の”ツナグ”と再会を果たす主人公と死者の生前と、
再会の時で話が構成されています。それぞれが独立した話になっています。
しかし最終話”使者の心得”で、それ以前の4つの話が、繋ぎ合わされていきます。
まさに、連絡小説の旨味が発揮されたストーリー展開となっています。
久々に読後の満足感が高かった。

いま私が会いたい死者は、誰だろうか?
また死者も一度しか生きた人間に会えない。
その選択は一度きりしかできません。
自分が死んだら、誰に会いに来て欲しいかな?

おわり

『鍵のない夢を見る』



2015年の30冊目です。

久しぶりの読んだ小説です。
辻村深月さんの作品を読んだのは、これが初めてです。
第147回内木賞受賞作。5つの短篇から成っています。主人公は、皆女性です。
「どうしてこんなことになってしまったのか?」
各短編の主人公である女性たちの人生の暗転を描いたものです。
次の5編が収められています。
・仁志野町の泥棒
・石蕗(つわぶき)南地区の放火
・美弥谷団地の逃亡者
・芹葉大学の夢と殺人
・君本家の誘拐

「仁志野町の泥棒」
小学校の時にやってきた転校生のお母さんに窃盗癖があるという設定。
それを知り、自分の取った対応が二人を含めた友人関係に影を射していく。
胸に苦いものが残る終わり方。

「石蕗(つわぶき)南地区の放火」
一度は突き放した合コンで知り合った男性が、自分と再度会うため、放火を犯すというもの。
しかし、男は”ヒーローになりたかった”と動機を話す。
女性は、自分との関係をいつ男が動機として話すのかという恐怖に苛まれることに、、、。

「美弥谷団地の逃亡者」
優しく、自分の母とも気が合っていた男が、最後に母の命まで奪ってしまう。少しサイコっぽい感じがします。

「芹葉大学の夢と殺人」
この話が、最も”暗転”を感じさせる内容です。この話でもそうですが、主人公の人生を暗転させる男性たちは、
皆、愚かで、自分勝手で、幼稚な存在です。
ある意味ではすべての男性が持っている特性ですが、自分もそういう要素を持っているとみられているのかな?
とちょっと憂鬱になります。

「君本家の誘拐」
子育てに奔走し自分自身を見失っていく若い主婦の行動の切迫感が伝わってきます。
ショッピングモールでふと気がつくと、ベビーカーに乗せていたわが子が、忽然と姿を消してしまう、、、。

辻村さんの小説の読者は若者が多いとのこですが、この作品は、若者向けというより、
若者から大人に成りたての女性たちが、少しずつボタンを掛け違えて生きていく様を描いているようでした。
当然、私は女性ではないので共感は難しいが、人の織りなす些細な心のすれ違いや、
分かりあえないことの当り前さといった、「ちょっとした」人との関係の齟齬が、重大な結果を生み出しています。
そして、それは、誰にでも起こりそうなことに思えて、思わず読みふけってしまいました。、

おわり

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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