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『クジラの彼』

クジラの彼 (角川文庫)クジラの彼 (角川文庫)
(2010/06/23)
有川 浩

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あらすじ
自衛隊を舞台とするラブコメ短編が6編。
「クジラの彼」は、『海の底』に登場するクールな冬原の恋愛を描いたもの。
「有能な彼女」は、『海の底』に登場する夏木と森生望の事件後の恋愛を描いている。
「ファイアーパイロットの君」は、『空の中』に登場する春名高巳と武田光稀のその後の結婚生活。
他の3篇は、他作品との関連はないと思います。

感想
どの作品も、自衛隊を舞台にしているけど、全く重たさを感じさせない。ちょっと軽いラブコメだと思います。関連する『海の底』や『空の中』での登場人物とイメージが変わっているケースもあって、ちょっと戸惑う部分もありました。その代表は”森生望”かな。『海の底』の中では、高校生だったから、儚さ、恥じらい、不安、決意といった単語が想像される人物だったが、すっかり自信をつけた森生望に、夏木が、たじたじとなっているところが、”女性は、大人になると変わっていくんだね”と感じます。男は、基本的には、変わらないよなと思います。作品にも共通してるのは、みんな我慢強い男が描かれているというところかですね。

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『海の底』 有川浩

海の底海の底
(2005/06)
有川 浩

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あらすじ

有川浩の自衛隊3部作の一つ(塩の街、空の中、海の底)
横須賀基地が一般開放された日に、巨大エビ「レガリス」が、人間を喰うために上陸。逃げ遅れた子供たちを、二人の自衛官(夏木、冬原)が潜水艦内に避難させる。物語は、潜水艦内の子供たちと両自衛官の関係と基地周辺を警備する警察機動隊の動きを制御する人間関係の2つの軸で展開していく。潜水艦内の人間関係は、ただ一人の女の子、森生望と自衛官、夏木の恋心の展開と母親の言いなりに生きてきた悪がきの行動と、心の葛藤が軸。

感想
自衛官夏木とのやり取りの中から、「いつも折れること」で生きてきた少女”森生望”が、自分自身の気持ちを表現する事の大切さに気づいていく展開に、とても共感できました。女子高校生から見た”オトナ”の力を感じました。地上でレガリスを駆除する”明石警部”と”烏丸参事官”に息の合い方が気持ちいいですね。どちらもいわゆるアウトロー的な生き方に彼らの矜持が伺えます。男子たるもの斯くありなんという著者の気持ちが入っているようにも思います。有川浩の自衛隊3部作の登場人物の名前は、「春夏秋冬」になっているんですね。ちょっとした気づきでした。

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『空の中』 有川浩

空の中 空の中 (角川文庫)
(2008/06/25)
有川 浩

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あらすじ
有川浩の自衛隊3部作の一つ。
200X年謎の航空機事故が相次ぐ。メーカーの調査担当者”春名高巳”と生き残った自衛隊パイロット”武田光稀は
調査のため飛んだ高度2万メートルの上空で、人間とコミュニケーションが取れるのちに『白鯨』と呼ばれる謎の生命体と出会う。一方地上では、事故死したパイロットに息子”斉木瞬”と同級生”天野佳江”が海辺で不思議な生物を拾う。
大人と子供が出会った不思議な生物と人間との間に起こるさまざまな出来事を、二組の男女の恋心を横糸にして展開していく。

感想
「塩の街」に続いて、読みました。あっという間に読み切りました。やはり物語に、縦糸=白鯨と人間とやり取りと、横糸=2組の男女の恋心の進展があるせいだと感じました。
空の中に巨大な人間には見えなかった生命体が存在しているという設定は、SFぽいが、SF小説としてとらえるとやや違う感じがします。人間の心模様を、『白鯨』との関わりの中で、描きかったと勝手に思います。
正確ではないが、「人間は、自分が存在していないずっと以前のことも知りたがる」という一文があります。人間の傲慢さなのか奥ゆかしさなのか?とちょっと考えてしまいました。また、『白鯨』の理性から見た人間社会のいい加減さ、脆弱さも投げかけられていると思った。「多数決」という人間の意志決定システムを『白鯨』に理解させることが難しかったように。私たちは、多数決というシステムの本質を理解はしてないと思う。
それにしても自衛隊パイロット”武田光稀”の見せるかわいさと春名高巳に魅かれていく心模様は、とても素敵でした。

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『塩の街』 有川 浩 

塩の街 (角川文庫)塩の街 (角川文庫)
(2010/01/23)
有川 浩

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あらすじ
宇宙からやってきた巨大な塩の結晶が、地球に塩害を及ぼす。塩が街を飲み込み、人間は塩になってしまう。
世界は崩壊へと向かている。その崩壊寸前の東京で暮らす男”秋庭 高範”と少女”小笠原 真奈”が、出会いひっそりと暮らす秋庭は真奈の保護者として。二人の前を、さまざまな人々が行きすぎる。塩になった恋人を海に入れるためやってきた若者、塩害の人体実験から逃れてきた少年。ある時、秋庭の旧友”入江慎吾”がやってくる。「世界とか、救ってみたくない?」という言葉とともに、秋庭は、真奈のいる世界を守るために、航空自衛隊パイロットとして決意する。世界を救うために。二人に関係はさまざまさ出来事を経て保護者と少女ではなくなっていく。

感想
塩の結晶が降ってきて、全てが塩化していく設定は、とてもおもしろかった。変な生命体や別の惑星からの侵略者がうようよ現れるよりずっとましな気がします。作品では、世界を救おうとする秋庭と入江のやり取りを軸にした話と、もう一つ、秋庭と真奈の恋の話の二つが交差していて、どんどん読めました。真奈の気持ちが、秋庭に魅かれていくところや逆に、秋庭が真奈を大切に思い始める気持ちの流れは、『海の底』に登場する夏木と望の関係に似ていると思っいました。世界を救えるのは、人への愛なんてモチーフではないと思います。むしろ、人を動かす力は、誰かを守りたいということが原点だと感じます。それを感じた人間がその時何を背負っているかで、救われるものかわってくると感じました。

心に留まった言葉
・「ルールは人を守るものだ。制約と罰則がある代わりに、守れば概ね自分を守ってくれる。」
・「変わってしまった世界で真奈に最も近しい人は、黙ったままずっと真奈の涙の受け手でいてくれた。」
  ~誰かの涙の受け手でいられるというのも素敵なことかもしれませんね。~
・「欠けたら痛い一部」
  自分にとって欠けたら痛い一部って誰だろう。
・「女が弱いだなんて男が信じたがっている幻想だよ。女性を守る義務ぐらいもらわないと、女から生まれてくる僕らはただ発生しただけの役立たずだからね。」
・「その子、秋庭の逆鱗だからね。」
  ~自分の逆鱗ってなんだろうと考えてしまいます。

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ジャンル : 本・雑誌

『レインツリーの国』 有川 浩

レインツリーの国 (新潮文庫)レインツリーの国 (新潮文庫)
(2009/06/27)
有川 浩

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あらすじ
ネットで共通の「忘れれられない本」でついて繋がった彼女と彼、会うことを拒む彼女。その理由は?その理由を持つ彼女とそれに向き合おうとする彼の恋物語。

感想
読み進むまで、彼女の持つ「どうしても会えない」理由が想像できなかった。図書館戦争とかを先に読んでいたら想像ができていたかもしれない。ネット上で、共通の本の話題で知り合い、実際に出会って、デートして、彼女の持ってる障害を乗り越えて恋が始まるというストーリーは、今時の話という感じですが、登場する女性は、最近こんな女の子は、いないだろうと思える健気さを持っていて気持ちが奪われてしまいました。少しずつ彼との間に、心の絆が作られていくが、その時々に、互いに一人で考え悩む時間が準備されているのは、良かったと思います。相手との関係について、じっくり時間をかけて考えてみるという彼と彼女のスタイルは、彼女の持っている障害が故だと思われますが、とても大切な時間だと思います。ネットやSNSですぐに、答えが出てくる世の中ですから、沈思黙考は言い過ぎですが、ゆっくり相手のことを考える時間をもつことの大切にしたいと思いました。自分が好きになった女の子に障害があったらどうするだろうか?そういう切り返しの問いは敢えてせず、この物語のハッピーエンドを受け入れたほうがよさそうです。


テーマ : 最近読んだ本
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プロフィール

トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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