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『きみはポラリス』

きみはポラリス (新潮文庫)  きみはポラリス (新潮文庫)
  (2011/02/26)
  三浦 しをん

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== 読了日 2012年8月7日==

11の短編が収められています。
各短編にはテーマが設定してあります。
「ラブレター」「信仰」「禁忌」、、、、、
恋愛がテーマの話も多いですが、有川浩のラブコメとは全く違った感じです。
淡々としてるものあり、生活感にしっかり浸かっているものもあったりして、
恋愛して、男女が一緒に暮らしている状態が、普通のことだから、
物語は、そこから始まるといった感じですね。
有川浩の場合、恋愛を始める前の心の動きを軽妙に描いている感じがします。

さて、いくつか心に残った作品について感想を書いてみたいと思います。

■ 「裏切らないこと」
生まれたばかりの息子のおちんちんに口づけをする妻の姿を目撃した夫の”男”としてのこころ模様が描かれている。
女性は肉親である男(兄弟や子供)に対しては心を許しているが、
夫という他人の”男”に対しては、いつまでも相手を信じ切らない気持ちを持ち続けているという。
なんだか不気味な感じがしますが、自分の妻もそうなのだろうかと考えてしまう。

■「夜にあふれるもの」
”信仰という行為”にとりつかれた女と彼女を否定する
学生時代の友人が、恍惚の結末を迎えます。
”行為”にとりつかれた女は、信仰心は持っていない。

儀式や信仰している人の姿や教会の雰囲気などに、陶酔していく。
ミサの最中に失神してしまうほどに。
貧血と間違われ信仰心の強い女とみられている。
彼女の友人は、そのことを見抜いていた。
その女が”変わった”女であることを。
彼女の特性を見抜いてしまった時点で、彼女と友人には
共有化すべき何かが必要になってしまったように感じました。
洗脳の為の学校合宿での出来事は、必然の結果だったようにも思います。

こういった女性は、今風にいうと”ふしぎちゃん”といった感じですかね。
自分の人生経験の中で、こういった人物に出くわすことが、何度かあるように思います。
だから、この「夜にあふれるもの」の結末のような経験をしている人もいるような気がします。
 
■「私たちがしたこと」
”みつからなければ、なかったこととおなじ”という言葉が、象徴的です。
私たちがしたことの重さを、正面から受け止め背負うのではなく、
この言葉で、その重みを”ひょいっと”かわして生きていこうとしている。

そうしなければ、”普通”でいられなくなるなら、これもナマ身の人間の来し方であろう。

■「骨片」
亡くなった愛おしい人の骨をこっそりと手に入れ、大切に持っている女の話し。
全然、グロテクスクな感じはしません。

きっと、小川洋子が書くと、もう少しおどろおどろしい内容になったかもしれない。

むしろ、哀れな感じがします。
好きな男性の一部を保持しておきたいというのは、情愛の深い女性にはあることなんでしょうか?

■「冬の一等星」
盗まれた車の後部座席に残されていた小学生の女の子と車を盗んだ男の奇妙な旅。
女の子には、その男が自分を守ってくれる人だと分かった。
男は、車を盗み、やがてもっと暗い深い世界に行こうとしていたはず。
でも、男は、女の子を守り、自分の側に連れて行こうとしなかった。
この男の心の構え方のおかげで、小学生の女の子の心に、
オリオン座の下のウサギ座という行為が素敵な思い出となる。

この人を”守る”と決めたら、身の処し方は、潔くなるのだろう。

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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