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『受け月』



野球にかかわる人たちの生き様を描いた短篇集です。
著者、伊集院静は、大学2年生まで野球を続けていた人ですから、
初期作品には野球を通して、”生きるていることの息苦しさ”を描いてるものが多い。
(そういう気がするだけで、正確には違っているかもしれませんが)
後日、彼自身の作家人生を振り返る「なぎさホテル」を読んで、
作品は、事実を基に丹念にそれを描写することが基本になっていると知りました。
すべての作品が著者の体験を投影しているわけではないでしょうが、
”事実は小説より奇なり”と言いますから、人間が関わった出来事には、
たくさんの機微があり、それを目に触れる形にすることができるのが、
著者の小説だということのようです。

ちなみに、私の好きな作家のおひとりです。

(2016年、51冊目)


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テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

不運と思うな。大人の流儀6


このシリーズも6冊目になります。
毎回、読んでいますが、必ず、いくつか私の琴線にふれる文章がある。
最近、伊集院静が小説家になる時に、6年間のホテル住まいをしていた「なぎさホテル」という作品を読んだが、
こんなに苛烈な前半生を生きた人なんだと改めて思いました。
その上で、このシリーズ6冊目を読後見返してみると、その言葉に重厚感を感じてしまう。
男尊女卑の考えとか、前時代的とか、いろいろ非難めいた評価をされる作家ではあるけど、
私は彼の考え方が好きだし共感できる。
なぜかな?私が時代遅れの価値観を持つ人がんだからかもしれないね。
多分間違いないな。それはいつどこで育まれたのか?そういう教育を公的に受けた記憶はあまりないで、
父親をはじめとする家庭の影響を強く受けていたのだろ。
伊集院静の考え方にも厳格な父親、人生の本質を見極めたような母親の教えが反映されていると推察できます。
本書は、「不運な人生などない」「切ない時がすぎて」「生きた証」「君が去った後で」の4章からなっています。
根底には、”人様の前で、”みっともない”ことをするものじゃない”という考えが、あると思います。

(2016年、42冊目)

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『少年譜』


2016年、22冊目です。

少年時の出来事を綴った7つの短篇で構成された小説です。
物語の綴られている場所が、中国地方の街々や中国山地であり、
とても親近感を持ちました。著者の伊集院氏は、山口県防府で高校時代までを
過ごされており、描かれている土地の感覚は著者自身の肌感覚だと思う。
大人になった男の誰にでも、刻まれている少年時代の自らの譜がある。
少年譜、それは形を変えることなく自分の中にあり続け、時に深く沈み今の自分と、
何の繋がりも無いように感じられる。
しかし、「自分」という人生の物語のエピローグがそこにはあり、
人生の主人公である自分自身が形づくられる時間がそこにある。
美しいというより、強い光ではないが、心の中で特別の色を放っている。
最初の「少年譜 笛の音」を読み終えた時、涙がでてきました。
その理由は、自分では分かっていますが、人には説明できない。
前後して読んでいた「涙腺崩壊」と帯に書かれていた推理小説が安っぽい
物語に思えてしまいました。
この短篇集の最後に収められている「親方と神様」は、以前に読んだ記憶があるのですが、
この短編集以外には収録されていないようで、不思議な感じです。
中国地方の”たたら製鉄”が物語に組み込まれており、
郷愁ともに描かれているこの作品は、絶品な少年譜だと思います。
あの強面の伊集院静の筆からこんな精緻な抒情的な物語が紡がれるのだから
文学は凄い(恐ろしい?)いくつかの物語の根底に共通していることは、一途に屈折することなく、
精励する者に訪れるのが、幸せだということです。

おわり

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『追いかけるな 大人の流儀5』


2015年の55冊目です。
大人の流儀シリーズは、最初からすべて読んでいるので、
著者の考え方や表現方法には、全く抵抗感を持っていないと思います。
「大人の流儀」とありますが、「大人の男の流儀」が副題だろう感じます。
・大人の男が、行列をして物を買うな!
・大人は騒ぐな!
・男はやせ我慢
・男は、人前で腹が空いたと言わない

ここまで達観した考え方を通している大人も今は、ほとんどいないと思う。
彼の前半生は、挫折と放蕩みたいに思えるが、そこで人間の本性を知り尽くしたのかもしれない。
また随所に、ご自分の両親の生き方が、今の自分に影響を与えていることを記されている。
自分の生き方に自信が持てる男(人間)でありたいと多くの人が思っているが、
叶うことは少なく、結果として自分人生を事後承認するという生き方をしている。
やはり男としての人間としての”矜持”を抱き生きていく様にはあこがれてしまう。

おわり

伊集院静の流儀 (文春文庫)

伊集院静の流儀 (文春文庫)伊集院静の流儀 (文春文庫)
(2013/03/08)
伊集院 静

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2014年の49冊目です。

私の好きな作家の一人である伊集院静のエッセイ、対談、週刊文春人気コラム悩むが花からの傑作選と、既出の文章を再編集した文庫本です。ただ、私は、これらの文章を読んだことが無かったので、どれも面白く読むことができました。

年齢的には、私の方が下の世代ですが、彼の”流儀”には共感できるものが多くあります。
しかし、同じような”考え方”を持っていると思うが、その考え方を手に入れるプロセスは180度違っている感じます。
彼の起伏に飛んだ人生の系譜に比べれば、私の人生経験や成しえた事は塵のようなものです。
在日で、女優さんと2度結婚して、ギャンブルに身を賭し、世界を旅し、、、。
私の堅実で地道な生き方とは全く共通点がありません。
にもかかわらず、同じような考え方、価値観に至るのはどうしてだろうか?不思議だ。
家庭環境、学校教育、地域社会とかも自分の価値観を形成していく為の因子だろうし、
読んだ本、習った先生、近所の人、父の仕事もあるだろう。
彼のエッセイなどを読んでみても、共通する因子は見当たらず不思議さを抱えたままです。

おわり

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プロフィール

トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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