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『どこから行っても遠い町』

どこから行っても遠い町 (新潮文庫)どこから行っても遠い町 (新潮文庫)
(2011/08/28)
川上 弘美

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表題作「どこから行っても遠い町」を含む短編集です。

井上弘美は、私の好きな作家の一人です。
「センセイの鞄」は、本当に大好きな小説です。
表題作「どこから行っても遠い町」は、奥さんと子供がいる男が、不倫関係にある女性も含め、
自分の人生の来し方を振り返ります。

なんとなく妻と結婚し、自然な成り行きで不倫関係を続けて来た自分は、
その人生を自分では決めてこなかったと考え続けて来た。
しかしある時、こうして生きて暮らしていること自体が、実はいろんなことを決めているんだと気付きます。

自分で決めていることに気付くと、どうなるのだろうか?
 自分の人生が価値あるものに思えてくるのか?
 責任感が生まれるのか?
 迷いがなくなるのか?

決めていることに気付くことの”意味”は、少なくともこの小説の中に具体的に示されていません。
(そもそも不倫相手がいること自体、重大なことを決めていると思うのだが。)
近所の魚やのおばさんが、好きな男のところへ裸足で夜道をかけていく様を思い出して、
「決める」という気付きが引き出された形になっていると思います。

のんびりと何も考えずに過ごしていても、人は瞬間瞬間に多くの判断をしていると言われます。
この文章が書き綴られているのも、今日会社で働いたことも自分が決めていること。
今の自分の状態(結果)は、自分が何かを決めたことが原因ということですね。

机の上の大きめのポストイットに”あした、あなたは何を決めますか?”と書いておきました。

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

『ハヅキさんのこと』

ハヅキさんのこと (講談社文庫)  ハヅキさんのこと (講談社文庫)
  (2009/11/13)
  川上 弘美

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 =2011年8月25日読了=
26の短編から構成されています。
どの話も、いわゆる”川上ワールド”に入っていると感じました。
代表作の蛇を踏むセンセイの鞄に出てくる夢を見る下りを、
読んだ時と共通の感覚です。何とも奇妙な感覚ですね。

人間関係や互いの環境が、相互に行き違っているが、
それでも一つの世界に留まって、繋がっているといった感覚です。

この”僅かに繋がっている”部分が、
実は人間としての繋がりの実態ではないかと言われてる気がします。

人間同士が、分かり合うとか、繋がっているとか、理解し合うということは、
実は、極めて稀なことで、多くの行き違いや、心のボタンのかけ違いをしながら、
僅かに繋がった一部で、人間関係が続いていると言っているようにも感じました。

それほど、人と人の繋がりは儚いものということだと思います。

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

tag : 川上弘美 繋がっている 川上ワールド 奇妙 蛇を踏む センセイの鞄 人間関係 短編

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トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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