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『月下の恋人』

月下の恋人 (光文社文庫)月下の恋人 (光文社文庫)
(2009/09/08)
浅田 次郎

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表題作「月下の恋人」を含む11の短編が収められている。
浅田次郎の短編作品は、よく読みます。
 
表題作「月下の恋人」について

恋人に別れを告げるために訪れた海辺の宿で起こった奇跡を描いた表題作「月下の恋人」。
僕は雅子と別れるため海辺の宿に投宿する。
雅子は、彼が分かれ話をすることが分かってた。
だから、「ここで、一緒に死んで」といった。
僕は気持ちを決め、二人で海に入るため海岸に出かけた。
そこで、同宿している恋人たちが先に、海の中へ心中していく姿にでくわした。
死の淵から引き返すことができたが、心中した二人の恋人が投宿してた形跡は消えていた。

こういう一節がでてくる。
死というものは、そうと決めたとたんに生の現実を宰領してしまう。
肉体はまだ生きていても。精神は一足先に死んでしまうのだと僕は知った。
死に急ぐということは、肉体があわてて魂の行方を追いかけるのだ。

彼らが見たものは、自分たちの肉体の先を死に急いでいく自らの魂の動きだったのだろう。

この不思議な、それでいて、私たちの現実からそう遠くに離れた気にならない距離感がいい。
自分にも訪れるかもしれない奇跡と感じてしまう。

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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