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『私とは何か――「個人」から「分人」へ 』


2015年の46冊目です。
分人という概念で、人間を理解しようという提唱には、共感できます。
自分の中に、本当の自分などなく、自分探しなどに価値が無いと指摘している。
現代人の『本当の自分』が存在するという認識は誤っていると書いている。人間には多面性があり、
自分の中に、一般的には矛盾する自分が存在することは、
誰もが気がついていると思う。(そういう認識の無い人が稀にいるのかもしれないが)
その時、どれかが自分の本当の姿で、どれかが偽りの自分だと考えているのだろうか?
私自身の中で、彼の言う”分人”同士が、互いを否定し合っていたように思います、
特に若い時は、その傾向がかなり強かったと思います。
著者の平野啓一郎は、まだ40歳という年齢なのに、
これだけ、論理的に(学術的ではないことは本人も書いている)整理できているのは、さすがに作家だなと思う。
この本は、新書として出版されており、帯には「まったく新しい人間観」と書かれている。
コマーシャル的なコピーにせざる負えないと思うが、ちょっと残念な感じがする。
誰もが、内在する”分人”の存在を認識しておきながら、それを上手く整理し、
整合させることができなかっただけなのかなとも思えます。
現在、読んでいる別の本で読んだ内容を重ねて見ると、
この分人同士が、主張し合い、相手の分人を認めようとしない状態が、葛藤ということなんだと考えられます。
分人は、様々な他者や環境に適用するために、自分自身が生み出した自分であり、全てが整合しあうことは有りえない。
そういう意味で、個性は、分人の構成比率で決まり、生涯不変のものではないというのも分かる。
この平野氏のように、自分を理解することで、自分の中の矛盾や葛藤から解放されるということかもしれない。
一方で個性を構成する”分人”の構成を意識的に変えるには、相当の苦労がいるとも思えます。

おわり

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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トホトホWALKER

Author:トホトホWALKER
性別 男性(家族有)

職業 サラリーマン
居住地 西日本の地方都市

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