『いつも彼らはどこかに』


2016年、31冊目です。

動物と人間のふれあいみたいなことがモチーフかと思って読み始めました。
それは、心地よく見事に裏切られました。まさに小川ワールドという感じです。
ストーリーや文体そのものに、大きな感動や心を揺さぶるメッセージがあるわけではないのですが、
自分の心の中にある様々な考えというか既存の感情の隙間に、じわっとしみ込んでくる感覚がします。
これは、私の小川洋子作品に対して共通して抱くイメージです。
この小説は、何かしらの生物が出て来る8つの短編が収められています。
「帯同馬」/「ビーバーの小枝」/「ハモニカ兎」/「目隠しされた小鷺」/
「愛犬ベネディクト」/「チーター準備中」/「断食蝸牛」「竜の子幼稚園」です。

「目隠しされた小鷺」に出てくる移動修理店の老人が、1枚の絵を見るために、小さな美術館にやってきます。
そこで働く「私」は、老人がその絵を見るために行っている奇妙な行動を手助けすることになります。
この老人の行為にすごい重たい背景があるのか?と思わせながら話は、「私」とその老人の関わりで進みます。
”小鷺”が出てくるのは、最後の一瞬です。まさに、いつも彼らはどこかにという感じですね。

「帯同馬」というのは、海外の大きな競馬レースにでる本命サラブレッドの精神的安定をはかるために、
一緒に移動遠征する時に”帯同”するレースに出ない馬のことです。
この物語だけが、関東の競馬場であることが分かります。
ちなみに他の作品は、まったく場所が分かりません。そもそも日本なのかさえも特定できないです。
そういった物語の設定の場所を無機質で、白っぽい感じにすることで、
登場する人間の行動に機微を感じやすくしているだろうかと思います。

「愛犬ベネディクト」は、もうちょっとのところでサイコパス的世界に入ってしまいそうな感覚をうけました。
愛犬とは犬の置物なのですが、それに対する家族の思い入れ方というか、
存在の受容性が、滑稽に思える反面、恐ろし世界を描いているという感覚を待たせます。(2016/11/19)

その他の小編については、また思い出せたときに、加筆します。

おわり

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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Author:トホトホWALKER
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職業 サラリーマン
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